長く働き続けるために!ワークライフバランスを死守しよう
看護師のワークライフバランスは、事業所の協力があってはじめて実現できるものですよね。では、事業所側は働き方改革に向けてどんなことに取り組んでいるのでしょうか?
日本看護協会は、2010年3月に「看護師のワーク・ライフ・バランス推進ガイドブック」を発行しました。このガイドブックを活用して意識改革を目的としたワークショップを開催するなど、看護師がさまざまな働き方を選択できるような勤務体制の導入をサポートしています。
例えば、正職員は夜勤を避けるのが難しいため家庭の事情などによる離職者も少なくありません。ですが、短時間正職員制度などを利用すれば仕事を続けていくことはできますよね。とはいえ、同じ正職員なのに勤務体制が大きく違うとフルタイムや夜勤の正職員の心中は穏やかじゃないかも……。
夜勤が免除される職員がいるということは、別の職員がその人のぶんの夜勤をこなしているということです。夜勤が増えて残業まで増えたとなれば、夜勤を含む通常勤務の正職員に不満を持つなというほうが難しいでしょう。短時間正職員制度を正常に機能させるために大切なのは公平性の確保です。そもそも条件が違うので完全に公平とはいかないとしても、有給休暇を取得しやすくしたり長時間勤務を減らしたりするなど工夫のしどころはあります。
多様な働き方を先行的に導入した39の施設を対象とした調査によると、ほとんどの施設でプラスの効果を発揮していたことがわかりました。全国平均と比較しても看護師の離職率は低く採用活動も順調。看護師の職場と多様な働き方は相性があまりよくなさそうにも思えるので、これは少し意外な結果だったかもしれませんね。
このことからわかるのは、事業所側が本気で取り組めば看護師のワークライフバランスは実現できるということです。経営戦略の1つとしてワークライフバランスに取り組む民間企業と比べると、医療機関のワークライフバランスに対する認識は低いようです。労働環境を変える必要性は何となく認識していても、日々の業務の忙しさや経営の厳しさ、受け継がれてきた職場の雰囲気などが壁になっていることもあります。ですが、そのまま何も変えなければ看護師の離職は増えるばかり!人が減ってまた採用し、育ててすぐ離職では事業所にとって損失でしかありません。多様な働き方ができる職場づくりに力を入れることは、質の高い医療サービスの提供に欠かせない重要な課題です。少子高齢化によってますます看護師が必要とされることがはっきりしている今は、看護師のワークライフバランスに全力で取り組むべきときです。